近年、避けては通れない問題となってきた太陽光発電所の雑草問題。太陽光発電所には、どんな雑草対策がふさわしいのか? ここでは、雑草対策のタイプと特長を解説する。あなたに合う雑草対策が、きっと見つかる。
雑草対策のタイプと特長
雑草対策は、一般的に
「人的防除」「機械的防除」「化学的防除」「生物的防除」「物理的防除」の5つに分類できる。
・人的防除…手で雑草を抜き取ったり、鎌などで手刈りをしたりすること。
・機械的防除…肩掛け式や自走式の草刈り機を使用して草刈りをすること。
・化学的防除…除草剤を撒くこと。
・生物的防除…クローバーなど被覆植物の種をまき、その植物で地面を覆い、雑草よりも優位に立たせること。
・物理的防除…防草シート、砕石敷き、コンクリート舗装などのこと。
雑草対策がとくに問題となっている
低圧太陽光発電所では、草刈り機(肩掛式刈払機や自走式草刈り機)を使った草刈り、除草剤の散布、防草シートの敷設が主な選択肢となってくる。
それぞれの対策のメリットとデメリット
●草刈り
草刈り機による草刈りは、もっとも多く行われている雑草対策といえる。メリットは1回あたりのコストが安く、見た目が自然であること。デメリットは、
刈り取ってもすぐに生えてきてしまうため、効果が持続しないこと。草刈り作業の際に、配線やパネルを傷つけてしまう恐れがあることなどが挙げられる。
作業は、最低でも
年2~3回は必要。費用は、
年間100円〜200円/㎡(50円〜100円/㎡×年2回)から。
●除草剤
除草剤による雑草対策も、1回あたりのコストが安く、散布が容易であることがメリット。デメリットは、
周辺環境に十分な配慮が必要なため、近隣住民や隣接する農地への影響等を考えないと、思わぬトラブルを引き起こすことにもなりかねないこと。
また、散布時期を間違えると、期待した効果は得られない。作業頻度は、草刈り同様に最低でも
年2~3回。費用は、年間約
60円〜/㎡(20円~/㎡×年3回)程度。
●防草シート
防草シートは、施工が容易で、効果が大きく、
維持管理の手間も大幅に軽減することができる。これは、他にはない大きなメリットだ。しっかりした製品を正しく施工すれば、
FIT期間中に張替えの必要もない。
ただ、様々な製品があり、性能も価格もまちまちで、設置作業のクオリティも業者によって大きく違うから注意が必要となる。
そのため、シートの性能や施工の丁寧さによって、防草効果が左右されるという点がデメリットとなる。劣悪なケースでは、敷いて
2~3年でシートが破れて草ぼうぼうになってしまった、などいう事例も報告されている。
また、
クルマが乗ると防草シートは大きなダメージを受けてしまう。そのため、管理車両が乗り入れる場所には敷設できない。コスト的には、分割払いができる場合を除いて、導入時にまとまったお金が必要となる。初期費用は概ね
1,000円~1,800円/㎡。
長期的・安定的な雑草対策を
必ずしも、どの雑草対策が良いと断言はできない。太陽光発電施設の立地や、予算によっても違ってくるからだ。また、
1つの方法にこだわるのではなく、草刈りと除草剤を組み合わせたり、部分的に防草シートを敷いたり、というようなことも考えられる。
また、高圧太陽光発電所なのか、低圧太陽光発電所なのか、によっても変わってくる。管理者が常駐している高圧の場合なら、管理者が時間を見つけて適宜草刈りをすることもできるだろう。コストを抑えながら、できるだけ効果的な対策をとろうと思うなら、パネル下やパワコン回り、フェンス回りだけに防草シートを敷くという手もある。
一方で、管理者のいない低圧の場合だと、人を雇って定期的に草刈りをするよりも、防草シートを全面に敷いてしまった方が、20年間トータルでは割安ということにもなる。
太陽光発電所では、雑草対策に掛けられる手間もコストも限られている。だからこそ、
効果とコストのバランスをトータルに考え、その施設にふさわしい雑草対策を打っていかなければならない。
そのためには、現場ごとに最適な雑草対策を提案してくれる、信頼できる業者を選ぶことも重要だ。一時しのぎではなく、
長期的・安定的に雑草を抑えるという発想が大切になってくる。
雑草対策を扱う企業一覧
株式会社丸八土建
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