設置やメンテナンスの手間なしに太陽光発電を導入できる仕組みがあるという。今回は実際に取り入れた企業に話を聞いた。
「販売する」から使う電力へ
少し前までの太陽光発電は、
「売るため」というイメージが強かった。売り手は電力を生み出するために広い敷地や屋根に太陽光パネルを設置する。
そこで発電した電力を売ることで設置費用などをペイし、売電の利益を上げることを目的として太陽光を取り入れる事業者が多かった。
しかし現在その様子が大きく変わってきている。売るためではなく、自ら「使うため」に太陽光発電を検討する企業、経営者が増えている。
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自分たちで使う電力は、自分たちでまかなう
ここからはスーパーや工場などの屋根を活用して実際に行われている、自家消費の事例をご紹介する。自家消費とは字の通り、
発電した電力を社内で消費することを言う。そのためたとえ雪や災害などのトラブルで電力需給が止まっても自給自足ができる。
実際の導入事例
大阪の地域に根ざしたスーパーチェーン「食品館アプロ」では、2020年7月に自家消費型の発電パネルを導入した。開始からわずか2ヶ月で、
電力使用量は昨年比で10%低減、CO2排出量は12,000kgの削減に成功した。
しかもこのシステム、初期費用が必要ない。メンテナンスも任せられるため、事業者にとってはハードルが低く嬉しい。
「食品館アプロ」はこれまでも各店舗の店長や従業員が節電にこまめに取り組んできていたが、さらなる電力使用量の削減の方法を探していた。その背景には、
持続可能な開発目標 SDGs に対して企業としての責任と立場を明確にしたい、という想いがあった。
取締役社長の嘉納氏は、電気料金の削減に加えて
「電力供給がストップした場合でも電力を維持し、店舗を営業できる」ことも導入の決め手だったと話す。2021年1月の大雪では、電力供給があと一歩で追いつかなくなる事態にも直面したが、このシステムがあれば外的要因に左右されず営業ができる。
※この「太陽光発電の無償設置」のビジネスモデルをPPAモデルと呼ぶ。事業者の建物に太陽光発電設備を無償で設置し、発電した電力を需要家が買い取る仕組みで、「第三者所有モデル」とも言われている。
電気料金を削減しながら 災害に強い地域社会を
このようにスーパーや工場が自ら自家消費を取り入れることによって、
環境に優しいだけでなく、災害に強い持続可能な地域社会を作ることができる。たとえば工場への電力供給がなくなっても、自らの電力によって稼働できるので雇用を守ることが可能だ。
こうした企業努力が町を支える重要なインフラとなり、自分たちのためだけでなく、環境や町にも
サステナブルな仕組みを提供することができる。
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