太陽光発電所の雑草問題を解決する手段として、「防草シート」への関心が高まっている。防草シートの魅力はどこにあるのか?また、防草シートにはどのようなタイプがあるのか?
防草シートは雑草対策の切り札
草刈りや除草剤による雑草対策に限界を感じて、防草シートの検討を始めたという事業者が増えている。
草刈りや除草剤といった方法は、身近な雑草対策ではあるが、様々な課題もあるからだ。
まず、いずれも効果が長持ちしない。とくに草刈りの場合、年2回程度ではかえって雑草を強く育ててしまう。草刈りをしているのに、年々、雑草がひどくなるという声もよく聞かれる。除草剤は、周辺環境に及ぼす影響が問題となり、使える場所も限れてくる。
その点、防草シートは、一度敷いてしまえば長期にわたって効果が持続する。草刈りや除草剤のような「雑草除去」ではなく、
雑草の生育自体を抑える「雑草防除」に優れた手法で、導入コストはかかるものの、通年で雑草のない敷地環境を維持することができる。周辺環境に悪影響を及ぼすこともない。新設・既設を問わず、
パネル下だけ・法面だけなど場面に応じて敷設でき、重機も使用しないためスピーディに導入できるのも魅力だ。
もちろん、防草シートなら何でも良いというわけではない。
製品の「選び方」、シートの「敷き方」、「手入れの仕方」によって、その効果には雲泥の差が生じてしまう。信頼できる製品を選び、正しい敷き方で丁寧に施工し、メンテナンスにも気を配ることで、はじめて高い防草効果が発揮される。
防草シートを選ぶポイント
防草シートには様々な種類がある。適正な製品を選ぶためには、まず防草シートの「原材料」と「構造」、「物性」について把握しておきたい。
ポイント1. 原材料
融点が低く成型加工性に優れる「ポリエチレン」、軽量で強度に優れる「ポリプロピレン」、耐候性に優れる「ポリエステル」、生物資源由来で生分解性をもつ「ポリ乳酸」がある。いずれもフィルムや繊維状に加工して使用する。
ポイント2. 構造
シートの構造は、大きく「織布」と「不織布」に分けられる。また、「単層」のものと「二層構造」のものがあることも注意しよう。
ポイント3. 物性
防草シートの物性においてチェックすべきは、
「引張強度」「遮光率」「透水係数」「貫通抵抗力」など。
「引張強度」は、防草シートを面に沿って引っ張った際の強度を示す数値で、シートの強度を示す項目の1つ。特に法面での敷設時にシートに乗った際の破れにくさに影響する。この値が低いシートは敷設時の損傷が多くなる傾向がある。
「遮光率」は、照射される光のうち何%を遮断することができるかの値。防草シートの性能に大きく関わる。なぜなら、
防草シートは、光を遮ることでシート下の雑草の光合成を抑え、繁茂を防止するものだからだ。
「透水係数」は、防草シートの水の通りやすさを示す数値。降雨後の水たまりのできやすさ、法面の場合はシート外部への流水量に影響する。
「貫通抵抗力」は、雑草の突き抜けに対する防草シートの抵抗力を示すもの。雑草の出芽力は最大で1kgf程度で、最低でもこれに耐え得る抵抗力が求められる。先端が尖った草種(チガヤ・笹など)の場合はとくに突き抜けやすいため、どんな雑草が生えるのかを見極めたうえで、材質や構造も考えあわせた最適なシートを選ぶことが肝要となる。
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