パワコンの技術は日進月歩で、さまざまな新機能が次々と誕生している。これまでは不可能だと考えられていたこともできるようになった。例えば、弱い日差しでもしっかり発電したり、蓄電池と組み合わせて自家消費を効率よく実現したりもできる。これから太陽光発電設備を導入するなら、こうした最新機能を使わない手はない。うまく活用して、
売電や自家消費の最大化に役立てたい。では、注目の最新機能をみてみよう。
1.朝夕の日差しでもしっかり昇圧して売電
日差しの弱い朝や夕方、冬季などは、一般的には発電に適さないとされている。日射量が少なく、有効に活用できるだけの電力量を生み出すことができないからだ。同様に、日影や落ち葉、鳥の糞などによってパネル表面に影ができる場合も発電効率が落ちてしまう。
しかし、低い電圧を上げて発電量としてカウントできる状態に調整する「DC-DCコンバーター」があれば話は別だ。DC-DCコンバーターとは、発電された電圧の低い電気を、適正な電圧に昇圧する装置だ。売電や自家消費にふさわしい電圧に調整してくれるため、微弱な日射量でも安定した発電を可能とする優れものだ。また、必要に応じて蓄電システムへ改築することもできる。
2. 蓄電池を組み合わせるならハイブリッド型がおすすめ
太陽光発電と蓄電池を導入する場合、通常はパワコンが2台必要だ。というのも、太陽光パネルで発電された電気は直流だが、電力会社の送配電網や家庭内の電気は交流で、売電や自家消費をするには、直流から交流に変換しなければならないからだ。
しかし、蓄電池は直流で充電するため、ふたたび直流に戻さなければ充電できない。このプロセスで電気のロスが生まれてしまう。
これを解決するのが1台2役の「ハイブリッド型パワコン」だ。太陽光発電システムに蓄電池を組み込む際は、ハイブリッド型パワコンが断然オススメ。電気のロスを防ぎ、コストとスペースの双方を抑えることができる。
3.理想の自家消費を実現する負荷追従制御
自家消費の効率を上げるには、ただ発電を増やせばいいという訳ではない。電気の使い方と発電のバランスが重要だ。例えば、たくさん発電しているのにほとんど電気を使わなかったり、ほとんど発電していないのにたくさん電気を使ったりするのは、理想的な自家消費とはいえない。
こうした発電と消費のアンバランスを防ぎ、自家消費の最大化に役立つのが「負荷追従制御」だ。負荷というのは電気の需要という意味で、需要を追いかけるように発電をコントロールする。これによって、発電が需要を超える「逆潮流」を防ぎながら、自家消費の最大化を実現できる。電気の使い方に応じて最適な発電のコントロールをするのが負荷追従制御だと覚えておこう。
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パワコンは、もはや単なる変換装置ではない。最新機能をうまく使ってワンランク上のシステム構築を目指そう。
文:山下幸恵(office SOTO)