いよいよ2022年度から開始されるFIP制度。選択制となる50kW~1,000kW未満の発電事業者は、自社の発電所に適した制度を選び収益アップにつなげたい。
FIP制度では積極運用で売電収益の向上を
FIP制度の対象となるのは1,000kW以上のメガソーラーで、50kW以上1,000kW未満の発電所はFIT制度かFIP制度のどちらかを選択しなければならない。原則として、発電事業者自らが電力市場で電気を売ったり、インバランスが出ないように運用したりといった義務が新たに発生する。つまり、FIP制度のもとでは、市場価格をみながら発電事業を運営していく意識の変革が求められる。
市場価格が揺れ動くFIP制度に移行せず、FIT制度を維持する方がメリットが大きいと考える事業者もいるだろう。確かに、インバランス調整などの手間を考えるとその選択にも納得できる。しかし、日本に先行して2012年からFIP制度を導入したドイツでは、8~9割の発電事業者がFIP制度を選んでいるという。
自社の発電所がFIT制度を続けた方が収益が大きいのか、あるいはFIP制度へ移行する方がメリットを最大化できるのかは大きな問題だ。この課題を考えるには、いくつかのポイントを押さえる必要がある。
1. 運用を工夫し収益拡大!
FIP制度で収益を拡大するには、市場価格に応じた売電が欠かせない。市場価格が上がりやすい午前中や夕方などにしっかり売電できるような工夫を施すことが、収益の最大化につながる。蓄電設備などによる充放電コントロールに加え、専門のアグリゲーターによる運用のアドバイスも有効だ。
2. 出力制御の扱いも変わる!
FIP制度では、出力制御の実施時にはプレミアムは支払われないが、その分のプレミアムがほかの時間帯に割りつけられる見込みだ。つまり、出力制御時を避けて売電することで、さらに大きなプレミアムを手にすることができる。ルールをうまく活用して収益の最大化につなげたい。
3. インバランスに経過措置!
発電量の計画値と実績値がイコールとなる運用を求める「計画値同時同量」の義務。この原則を守れなかった場合には、インバランス料金というペナルティが発生する。これは発電事業者に課せられる義務だが、FIT制度では特例で免除されていた。そのため、FIP制度の導入当初には運用変更のコストとして0.07円/kWhを付与する経過措置が設けられる予定だ。同時同量の運用に不安があるなら、専門家への早めの相談がおすすめだ。
FIP制度では、発電事業者が積極的に運用することで収益を大きくできる可能性がある。専門知識やスキルが求められる運用にあたっては、プロフェッショナルへの相談が安心だ。